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「…え?」
私は今、葵が言った言葉を理解出来ずに呆然(ぼうぜん)と見ていたが、葵はどうでもいいらしい
「追いかけたらどうだ。そっちの方が私も好都合だ。」
そう言うと同時に葵はまた本を読み始めた
我が妹ながら恐ろしいと思う、こいつは相手が泣いた所で気にもしない、いやむしろ
やっと本が読める。静かで好都合だ。
と片付けてしまう
「…葵ッ!!!」
私は我慢出来ずに葵から本を取り上げる
「栞泣いてッ…泣いてるッ!!早く追いかけなきゃッッ!!」
そう言い床を指差す
葵は少し目を丸くしたが、すぐにまた冷たい目に戻る
そして栞が忘れていった今回のケンカの原因を拾い上げ、裏返してテーブルに置いた
「行くならお前一人だけで行け。」
反論する余地はなかった
葵は近くに転がっていたシャーペンを手に取ると、ありえないスピードで伝言を書きはじめた
1時間で30分程の劇の台本を書いてしまう葵だ、たかが紙一枚なら朝飯前だ
一秒に一行ぐらいのスピードで白紙がどんどん黒くなり
「これも持って行け。ちゃんと栞に渡して来い。」
葵は先程、栞にそうしたように紙を茜に押し付けた
そして別の本を手に取ると話し出した
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