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「あ、やっぱり茜ちゃんだったのね!ふふ!もう、いきなり大声出すからビックリしちゃった」
浪江先輩は栞に軽く肩を貸すようにして背中に手を添えていた
私は浪江先輩と栞の顔を交互に見た
あのプライドの高い栞が、今は浪江先輩の手がなければ立ってられないように見えた
「栞!!どこ行ってたの!?散々探し回ったんだかん」
バシッ
頭を思いきり叩かれた
「…へ」
「誰がバカよ」
いや、プライドは高かった…よく見ればあからさまではないが、さりげなく浪江先輩の腕を押し退けていた
「何時間探してたの?もしかして私が茜の家出てからずっと?」
「……2時間ぐらい」
「2時間!?だからこんなに汗だくだったのね」
浪江はカバンからハンカチを取り出すと茜の顔に当てた、突然のことで茜は間抜けな声を出した
「ぬぉ!?だ、大丈夫ですよ!!それに、ハンカチ汚れちゃいますから」
そう言うと浪江は嬉しそうに微笑んだ
「でももう夕暮れだし、そのままだと風邪を引いてしまうわ?ここまで走って来たんでしょ?
せめてこれぐらいさせて、ね?」
先輩にここまで言われてしまうとどうすることも出来ない
茜はおとなしく汗を拭いてもらった
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