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「だいたい私たちが上に行けばいいじゃん」
「い~やッッ!!!私だってあの灼熱地獄を味わいたくないよ!!」
栞がため息をした
「…じゃあこれ、どおすんの?」
栞は今まで持っていたものを私の顔の前でヒラヒラ振った
そう、この前、先生が私に渡したあのバツ印の多い紙のように
…やめよう、泣きそうだ
「今回やっと私の提案が部で通ったんだから!葵がいなきゃ始まんないの!うちの部の監督なんだから」
「う~…」
今日栞が家に来た理由は遊びに来た訳ではない
私たちは学校で演劇部に入っている。部活と言っても指で数えるぐらいしかいない小さな部だが…
学校内で演劇部を知らない人は誰もいない
私と栞は入学してからすぐ演劇部に入部した
子供の頃からミュージカルとかが大好きで、テレビごしにいつかこんな風に舞台に立ちたいと二人でよく言っていた
でも理想と現実は全く違う時がある
私たち二人がどんなにやる気を持っていても
「たかが部活だし」
その一言で自分のしていることが間違ってるように思ったり、実現出来なくなることだってよくある
台本も演技も出来てる
だけど私にとって舞台はどことなくぎこちなかった
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