にょっす!

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窓の外で雀たちが一斉に飛び立った 目から鱗(うろこ)って…こういうことを言うのかな…? 私は始めて葵の頭の中を見た気がした 双子なのに、こんなに考えていることに差がつくのか…と きっと彼女の中には彼女いわく、沢山の作者の日記が蓄積(ちくせき)されているのだなと感じた それ以来、葵に対して反発の声は上がったとしても「物語を殺している」という声はなくなった 物静かな葵があんなに熱く語った それぐらいに作品や劇を思っていると分かったからかな 「…だからといって先輩にお前、はないけどね…」 その声に反応してビニール袋を持って前を歩いていた栞が足を止めて振り向いた 「?なんか言った?茜?」 「え?あ~……え~、と…なんて言うか…」 いつもうるさい茜が大人しく見えた栞は不思議そうに見返す 「…なんか熱いなって、思っただけ」 なんだ、それだけ?とでも言いたげにまた前を歩いて行く 私もそれに続いて歩く 確かここは私の家なのに、栞は自分ちのように前を歩いている それほどよく来てるってことだけどね 本当にこの廊下は暑い 早く栞の持ってきたアイスが食べたい
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