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うん、それで?
「遅い」
葵はエアコンの効いた部屋でゴロゴロしながら本を読んでいた
「遅い、って…さっきから呼んでたんですけど!?」
その結果私が根負けしたのだが
「私がいつ行くと言った。お前たちが来たことで私が呼びに行く手間が省(はぶ)けた。」
相変わらず本を読んで横になっている妹
…姉の…威厳って…
「棒読みなのが分かってるんですけど!?てか本読むのやめぃ!!」
「全く、来るなら部屋に来いってメールくらいして欲しいわ」
栞が呆れたように寝ている葵を上から見下ろす
「携帯に手が届かない。…ほらな。」
葵が本から目を離さずに手を上げ下げした
「それより、これ見て」
栞は葵と本の間に先ほど私の前でヒラヒラした紙を上手く滑りこませ、見せた
栞さん…私より葵の扱いなれてらっしゃる…
「……何だこれは」
「は?何って、あんた文字読めるでしょ?そのまんま」
葵は紙の向こうの栞をめんどくさそうに睨んだ
「そういうことじゃない、貸せ」
葵は本を自分の横に置き、その紙をまじまじと見た
「……。」
三人の間に沈黙が流れる
すると葵はいきなり紙を栞に押し付け、吐き捨てるように言った
「帰れ。」
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