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「「……」」
無言が痛い
「…あ~…え~と…とりあえずさ、葵?何でこの台本作りは無理なの?」
「……」
葵の鋭い目線が刺さる
気分を害したとか、そんなことじゃない
何でもっと早く言わなかった?と言う目だ
「何でか知りたいか?」
声に少し弾みがついた、それに便乗してか体をゆっくりと起き上がらせる
葵のことを見下ろしていた栞も少し落ちついたらしい
葵は栞の持っていた紙を素早く取ると説明しだした
「私は童話は大好きだ、今までにない世界観、空想、仮想、そして嫉妬、執念これらを含めても全て美しいと思うさ」
自分の力説を聞いてくれることが嬉しいらしい、珍しく顔が綻(ほころ)んでいる
「童話は子供も大人も楽しめる、時代を超えても語り継がれるくらいだ、きっと演劇にしたらさらに面白いだろうな」
私の方を見て言ってくるけど、それらを今現在見下ろしている執念深い女の子に話して欲しいな
葵は童話の演劇を否定している訳ではない、むしろ乗り気だ
栞もそう知ると嬉しそうだが少し微妙な顔をした
じゃあ何で帰れなんて言ったんだろうと
葵は栞の方を見るとため息をついた
「…まだ分からないのか?」
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