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「……非日常が欲しいんです」
振り絞るように出てきた言葉はシンプルでわかりやすかった。
「……これって」
彼女に軍手と草の詰まったゴミ袋を渡すと最初は戸惑っていたが、直ぐにパッと顔を綻ばせた。
ひんやりとしてきた十一月の頭に非日常を欲しがる少し変わった彼女が草むしりバディに加わった。
……良くも悪くも女子との接点作りという当初の目的を達成しながらも、何とも素直に喜べなかった。
そうだね、先ずは帰りにもう一つ、軍手でも買ってこようかね。
「……天気の悪い日や、学校が休みの日にはやらないから」
「はい!」
「……名前は?」
「天宮未夢(アマミヤミユ)と言います。えっと貴方は?」
「……杉村健(スギムラタケル)。呼び方は何でも良い。」
正直、頭で文章が出来ても中々出てこない。
「よろしくね、健君」
「よろしく、天宮さん」
草むしり、どういう因果かわからないまま天宮未夢と出会った。
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