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「すみません、今月も失礼します」
「ああ、はいはい。お疲れ様です、どうぞ」
にこやかな笑顔に笑顔を返し、陽香は歩道に戻りその場にしゃがみ込むと、献花の中に白いバラの花束を加えた。
ここで昔、陽香にとって高校の先輩にあたる男が命を落とした。
──斉木守。
斉木は、自分の恋人をストーキングしていた女の飛び降り自殺に巻き込まれてしまったのだ。
陽香はその時現場にいたわけではなかったが、酷い惨状だったとメディアが伝えていた。よくよく見ると、アスファルトの色が変わっているところがある。恐らく、血の痕だろう。
それを見ても怖いと感じなくなってから久しい陽香は、目を閉じて手を合わせた。
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