枯れ果てたいくらい。

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 あれからもう7年くらい経つというのに、今もこうして月命日には現場に花が供えられる。底抜けに明るかった彼の短い生涯を思うと、やはりいなくてはならない人だったのだと感じることができた。  誰がここに来ているのか、鉢合わせをしたことのない陽香には判らなかった。恐らく線香は遺族の誰かなのだと思うが、ここで亡くなったのは斉木だけではない。だから陽香はあまり考えないようにしていた。  もしかしたら、「彼」もここに来ているのかもしれなかったから。 .
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