森の中から待つ少女

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森の中から待つ少女

足を切られました 腕を切られました 目をとられました 舌を抜かれました でもまだ貴方を待ちます いつか帰ってくるはずだから ここは何処かの深い森 回りは薄暗く見渡す限りは大木 見飽きた目の前の太い木から 目を離すこと無く ただただ貴方を待つ 貴方の帰りを待つ 「待ってて」 そう言って貴方は森の更に 深いところに消えた 見えなくなった後ろ姿に 一つ溢す溜め息 “ねぇ、いつ帰ってくるの?” あれからどれくらい経ったかわからない ただ貴方の言葉を信じ 私は待つよ ずっと待ちます 待つだけ無駄という友達や 信じるなんて馬鹿じゃないの と私を罵倒する貴方を好きな人 の言葉を振り払って そんな邪念なんて要らないから 待つから待つわ 早く帰ってきてなんて贅沢は言わない ただ無事に帰ってきて また好きだと言って抱き締めて 愛してると言ってキスをして そのためだったらいつまでも待ちます 貴方の無事を祈りながら
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