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「トリィ、お前は最高のパートナーだぜ」
ジンを3本ほど空けたダンテが、低い声で言った。
悪魔の耳でなければ聞き取れなかっただろう。
わたしは返事に変えて、片方の眉を上げてみせた。
ダンテがそれをどう取ったのかは、判らない。
ダンテはグラスを――乾杯でもするように――軽く上げると「本当だぜ」と言った。
「飲み過ぎね」
「ああ、そうかもな」
珍しく素直なダンテにわたしは目を瞬いた。
いつもと違う。
何かを言おうとしている男の口を軽くしてやるために、受話器を外して机の上に置いた。
わたしの意図を察したのか、ダンテが優しい笑みを口元に浮かべた。
本当はシャイで照れ屋な自分を、軽薄な言動とニヒルな笑いで隠している男が時折見せる、本心を現した笑顔に鼓動が少し早まった。
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