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「本当にお前は最高のパートナーだ。
だが、俺はお前を家族にしてやれない。
お前に家族を、人間としての幸福(シアワセ)を与えてやることは出来ない」
「分かっているわ。望んでもいないし」
「そう…か。まあ、戯れ言と聞き流してくれて構わないが…、少し付き合ってくれ」
「いいわよ。なに?」
「俺は、人間の時間で生きる。いつか、お前を置いて逝く」
そんな話し聞きたくもなかったが、わたしは無言で先を促した。
グラスの中に何を見ているのか、ダンテは無色透明な液体の中で、角の滑らかになった氷を凝視(ミツ)めている。
「普通で50年かそこらだ。悪魔を狩り続けるからもっと短いか?
お前は最高のパートナーだが、俺に付き合うことはない。一緒に生きたい奴が見つかったら、俺には構わずにそいつと行け。
幸福(シアワセ)にはしてやれないが、お前の幸福(シアワセ)の邪魔をするつもりもない。
そういうことだ」
今度は、わたしが笑みを浮かべた。
「分かったわ」
わたしはある決心をして、そう答えた。
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