トリィの決めたコト

3/4
前へ
/14ページ
次へ
「本当にお前は最高のパートナーだ。  だが、俺はお前を家族にしてやれない。  お前に家族を、人間としての幸福(シアワセ)を与えてやることは出来ない」 「分かっているわ。望んでもいないし」 「そう…か。まあ、戯れ言と聞き流してくれて構わないが…、少し付き合ってくれ」 「いいわよ。なに?」 「俺は、人間の時間で生きる。いつか、お前を置いて逝く」  そんな話し聞きたくもなかったが、わたしは無言で先を促した。  グラスの中に何を見ているのか、ダンテは無色透明な液体の中で、角の滑らかになった氷を凝視(ミツ)めている。 「普通で50年かそこらだ。悪魔を狩り続けるからもっと短いか?  お前は最高のパートナーだが、俺に付き合うことはない。一緒に生きたい奴が見つかったら、俺には構わずにそいつと行け。  幸福(シアワセ)にはしてやれないが、お前の幸福(シアワセ)の邪魔をするつもりもない。  そういうことだ」  今度は、わたしが笑みを浮かべた。 「分かったわ」  わたしはある決心をして、そう答えた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加