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「ヴィンスキー!1人逃げたっ!」
しかしヴィンスキーは、取り抑えた男をニンジャと思っているので気にもとめない様子でその男を問い詰めにかかった。
「絶対お前がニンジャだな!さっきから一連の技を見りゃ一目瞭然だ。忍術のエンジニアなんだろ?コード6・ニンジャ……」
しかしそこまで言って気付いたようだ。
そう……。
その男は間違いなく忍術のエンジニア。
ジャンパーは駿足のスキラー。
名前はニンジャだが、能力は駿足だ。
それに気付いたヴィンスキーは、すぐにさっき僕が伝えた言葉を思い出し、逃げた取り巻きの行方を探した。
しかし既に姿はない……。
「リューガ……!何か勘違いしてた……。」
ヴィンスキーの落ち込みは、心の声を聞くまでもなく明らかだった。
無理もない。
折角の有力すぎる情報に加え、目の前にいたばかりか対峙していた相手が、探していたジャンパーだったのだから。
こんな千載一遇のチャンスを、みすみすふいにしてしまっては、もうチャンスはめぐってこないだろう。
そんな諦めにも似た心の声が、僕には痛いほど聞こえてきた。
「大丈夫だよ。この忍術のエンジニアさん、どう考えてもニンジャの仲間でしょ。居場所を聞き出せばいいんだ。」
そう……。
情報はまだ残っている。
例えこの男が口を割らなくても、僕の心眼からは逃れられない……はず。
居場所を知っていればの話だが……。
しかし、時既に遅し──
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