2話 分かれ道

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「うわあああああーっ!」 A先生が叫び声をあげて、急ブレーキをふんだのです! 「キキッ!」と車が大きなきしむ音を立て、わたしの体は、一瞬前に投げ出され、すぐにシートに引き戻されました。 シートベルトをしていなかったら、間違いなくフロントガラスに頭から突っ込んでいたでしょう。 「どうしたんですか?いきなりブレーキなんか踏んで!」 わたしは、怒ってA先生にくってかかりました。 「見ろよ・・。あれ・・・」。 A先生が指差す方向を見て、わたしはあ然としました。なんと車は、崖っぷちから十センチくらい手前のギリギリのところに止まっていたのでした。 慌てて車を降りて崖を見下ろすと、高さ四、五十メートルくらいありそうでした。 そして、よくよくあたりを見回すと、古い壊れた看板があり、 『この先、行き止まり。 崖あり危険』 と書かれていたのです。 「A先生はあやうく、崖から転落するところでしたね。それにしてもさっきのおじさん、嘘を教えるなんてひどいですねぇ」 「全くだ。いや、結構な歳だったから、ぼけてたのかもしれないな・・・・・・・・・」 腹をたてながらもそんな話をし、わたしたちは車をバックさせました。 そしてさっきの二股に分かれた所までもどってきたのです。 そして今度は、右の道をどんどん進みました。 すると山道が下りになり、やがて民家の明かりが見えるようなってきました。 『猫ヶ岳キャンプ場』の看板も見え、どうにか一安心。 お腹もすいてきたので、そばにあったコンビニに立ち寄る事にしました。 おにぎりなど買いながら、レジの店員さんに、大変な目にあったさっきの出来事を話したのです。 「タ・・・バ・・・コ・・・屋で道を?」 店員さんは、不思議そうな顔をしました。 「そうですよ。さっきそのタバコ屋で道を教えられて・・・・・ひどい目に・・・・・。それがどうかしたんですか?」 「あの・・・・。お客さんの勘違いじゃないですか?いえ、確かにあったことは、あったんですけど・・・・・・。」 そう言うと店員さんは、こんな話を聞かせてくれました。
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