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その吉川が戸惑っているのを見て、飛紗はくすりと笑った。
「差し入れは、みんなで平等に分けなきゃね。でも私たち、芝居が終わってからも働いたんだから、その分のお手当てをもらいましょうよ。」
「いや、僕は…」
吉川は、まだ戸惑っていた。
その真面目さぶりが、なんだか飛紗には可愛く見えた。
「今日は夕飯抜きでしょ。さ、食べて。その代わり、私の質問に答えてちょうだい」
飛紗は、マカロンを1つつまんで口に入れると、吉川に箱を差し出した。
「おいしい!」
マカロンの糖分が、空腹の胃に染み渡り、飛紗は思わず声を出した。
吉川も、そんな飛紗につられて、マカロンを口に入れた。
「吉川さん、私たち、どうしてこんなにお金がないの?」
「え?!」
飛紗のあまりに素直な質問に驚いたのか、吉川は、ムセかけた。
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