第Ⅰ部 1-1 サヴォイ劇場

6/18
前へ
/1248ページ
次へ
「外国人だということで、料金をふっかけられているかもしれません。あと、スケジュールに空きが多すぎます。」 (そういえば…) 飛紗にも思い当たることがあった。 シュミット氏の下にいたときは、ほとんど毎日働かされた。 1日3回公演の日も珍しくなかった。 公園の仮設テントで演じることだってあったのだ。 しかし最近は、そんなことはなくなった。 「公演があってもなくても、劇団員の宿泊費や食費、出ていく金はかわりません。公演の数が減って収入が減れば、赤字になるのです」 (そうなのよね…) いくらいい芝居でも、多くの人に足を運んでもらい、金を払ってもらえなければ、続けていけない。 新山座程度では、まだまだ足りないのだ。
/1248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1821人が本棚に入れています
本棚に追加