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彼女はとなりの少年の口元についてる謎の物体を見つけた。
「(あのパンの中身?)」
彼女は少年の肩を叩く。
「どうした」
半分くらいに減ったパンを下ろし彼女に顔を向ける少年。
「(ちょっととまって)」
犬に待てをするときのように手を前に置いて少年の動きを止める。
その間に右手人差し指を唇近くで滑らせる。
「…何?」
一拍置いて少年が少しだけ緊張している声で言う。
が、彼女はその暗赤色の物体の匂いをかいだ。
それを、なめた。
「(…おいしい!)」
瞳をキラキラと輝かせて彼女は少年を見た。
「…好きなの、あんパン」
試しに近づかせると、より瞳は輝いた。
「…いる?」
彼女は今にも手を伸ばしそう、でも食べすぎるのも…というジレンマに襲われているらしい、手を出したり引っ込めたりしている。
「あげるよ」
彼女に袋ごと渡すと彼女はこっちを見上げてくる。
「俺腹一杯だから」
お腹をぽんと叩く。
彼女は小さく一口食べて、少年が本当にくれたか確認してからさっきより嬉しそうに食べた。
「(本当にありがとう!)」
彼女はまた外国語を話して、少年の頬にキスをした。
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