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帰る途中、曇っていた空は降水確率20%だったのに降り出した。
近くの本屋に雨宿りする。
「どうしよう、傘忘れちゃったし、近くにコンビニないし…」
鞄を漁ってみると、折りたたみ傘が一つ。
「三浦」
「ん? 何、大塚君?」
「ん」
傘を差し出す。
「使って」
「でも大塚君は!?」
「俺は走れば十分でつくし、三浦は電車の後歩いたりするだろ?」
でもでもと受け取ろうとしない三浦に無理やり握らせる。
「月曜とかそこらへんに返してくれればそれでいい」
鞄のチャックを念入りに閉める。
「俺右だから、じゃあね」
「ありがとう、大塚君!」
三浦と別れたあと、いろいろな店の前で雨宿りしながら進む。
この調子なら本当に十分でつくかも。
そんなこと考えていると、前に同級生の女子がいることに気づいた。
だが、その赤の水玉の傘とスクールバッグの狐のアクセサリーを見た。
「…危ない危ない」
あいつと会うのはまずいからな。
小道から少し遠回りをすることにした。
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