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部屋に戻ると、弥生さんの服を着た女の人が寝ていた。
「この子、何日も何も食べてないみたい、どこで拾ってきたの?」
「裏道です」
弥生さんとサイズが近くて良かった、服を買いに行かなくてすむ。
「なんでそんな面倒くさそうな場所にいたんだろう?」
「さあ」
「さあ、ってあんた」
弥生さんが俺を心配そうに見る。
「とにかく、この子はあんたの部屋に残らせなさい」
「…はい?」
「だから、あんたの部屋であんたが面倒を見るの」
弥生さんがいつもよりやや鋭い目をする。
「看病とか彰に出来ないことは私が手伝うけど、拾い主なんだから面倒は自分でみないといけないだろ」
そうだ、俺が拾われたときだって育ててくれたのは弥生さんだ。
「わかりました」
「とりあえずパン類をいくつか冷蔵庫に入れといたから起きたら何かしら渡して食べさせてやりなさい」
「ありがとうございます」
「あと、変な気は起こすなよ」
といっても彰なら大丈夫か、と言い残して弥生さんは店に戻った。
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