備考資料:ある男の娘とその幼馴染みのお話し

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結局その日はそれだけで終わりましたが、その日から何度か孤児院に通う内に敦くんは話をするようになりました。 それでボクが知った事は… そうです…たらい回しと孤児院内での虐めの事です。 虐めに関しては敦くんの様子や雰囲気もありますが、酷くなったのはボクが通い始めてからでした。 当時からボクは見た目が(自分で言うのも変ですがよく可愛いと言われる)女の子だったので、そんなボクが敦くんと仲が良い事を快く思わない子達が率先して虐めをしていたそうなんです。 …その内毎日生傷が絶えなくなる程に虐めが酷くなりました。 孤児院の人の努力も虚しく、全くおさまりません。 ボクは敦くんを引き取ってくれるように両親に頼みました。 …最初からそうすれば良かったんです。 ボクの両親は話を聞くと『何度も助けてくれた親友の子供がそんな目に遭っているのはやるせなさ過ぎるし約束もあるから』と、すぐに行動しました。 両親はボロボロの敦くんを見て『何故もっと早く気付けなかったのか』と後悔しつつも、『手遅れにならなくて良かった』と安堵しました。 …両親はお人好し…なんですよね…。 敦くんは篠原家に住む事になった時、微かに微笑んでいたように見えました。 …それから敦くんは徐々に今の敦くんになっていき、中学生になった頃には今の敦くんが出来上がってました。 …ボクの敦くんに対する『好き』や『気になる』が恋愛感情だと気付いたのも丁度この頃でした。
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