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そっと背中に腕を回して、ギュッと抱き付くと、ゆっくりと優しい大きな手が頭を撫でてくれた。
ひと撫でされる度、心の中のモヤモヤした嫌なモノが消えていく。
──あぁ、そうか……
「淋しかった?」
「ん……」
そう、淋しかったんだ。だから、変にイライラしてマイナスにばっかり考えて。
少し悪戯に、からかうみたいに訊いた要さんの言葉に素直に頷いて頬を擦り寄せた私を、要さんは一瞬置いてギュッと強く抱き締めた。
「……ごめん」
謝る要さんに、謝って欲しくはなくて、首を振った。
要さんは決して悪くない。お仕事なんだから仕方ない。
コレはただの私の我が儘だ。
愛してる人と一緒に暮らしているというのに、忙しくて会える時間が少ないからって泣き事を言う私はなんて欲張りなんだろうか。
そんな欲張りな私に、頑張って働いている要さんが謝る必要なんてあるわけがない。
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