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つくづく私は間が悪い。
「俺と一緒にシャワーを浴びるのと、一人でシャワーを浴びて着替えるのとどっちがいい?」
「……」
まさかの二者選択?!
いやいやいやいや、だからそうじゃなくてね。
下着がね!
なんだか泣きそうになった。
「違うの。そうじゃないの」
「ん?」
答えとは違う事を口にした私に、黒崎さんは目を細めている。
「し、下着がね!あの……濡れてて」
──ああ、恥ずかしいぃ
尻窄みに声が小さくなり、『着替えたらまたお詫びに伺うから』と消え入りそうな声で言った私に、黒崎さんは『……悪い』と言って、なら俺も一緒に行くとお姫様抱っこのまま玄関を出ようとした。
「いやいやいや、待って!」
「ん?」
そんな優しい顔してもダメですよ。
「一人で大丈夫だから、下ろしてください」
「ダメだ」
ああ。また眉間に皺が……
「な、何で?」
「一人にするのは心配だから」
「え……。何で?」
「馬鹿かお前は!さっきまでのお前を見てて一人になんて出来る訳ないだろう!」
「ッ──」
目を見開いて驚く私に、『怒鳴って悪い』と謝った黒崎さんは玄関を出て私の部屋へと連れて行ってくれた。
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