おまけ?③

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「ただいま」 「お、お帰りなさい。ごめんね、ぼーっとしてて気付かなかったみたい。ご飯の支度するから着替えてきて」 何だか目を合わせる事が出来なくて、慌ててキッチンに駆け込もうとしてリビングに入った所で捕まった。 手首を捕まれ引き寄せられて、後ろから抱き締められた私は、すっぽりと要さんの腕の中に収まってその温もりと匂いに包まれる。 「どうした? 何かあった?」 優しい声音で耳元で囁かれ、何でもないと言うように首を振る私を反転させて正面から抱き締め直す。 私は要さんの胸に擦り寄った。 ──あぁ、要さんだ ここ最近要さんは本当に忙しくて、帰るのは深夜で朝はいつもより早くて、二人で過ごす時間もなかった。 先に寝ててと言われても、帰りを待っていた私は深夜一時を過ぎても二時を過ぎても帰って来ない要さんを待っていられずいつの間にか眠ってしまい、朝はやっぱり起きられなくて見送りすら出来ない日が多くて、こんな風に抱き締めてもらうのも何だか凄く久しぶりだ。
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