―序章― くるくるくるり

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進路指導室って言うと普通受験する大学とかそういうのを指導する所だけれど、うちの高校は少し違う。 大学に関する進路は、高二の終わり頃から何度も行われる面談によって徹底的に指導される。 名ばかりの進路指導室は、“学力面に関して不安のある生徒”の指導用。 つまり、お説教部屋だ。 「お前アレだもんな!英語が超アレだもんな!」 「超アレって何!?」 「ま、頑張れよ」 「うるさいんだけども!」 「英語だけなら俺たぶんお前に勝てるわ!マジで!」 ……最新の偏差値は、37。 そんな英語の成績を持つあたしが行くのには、大変相応しい場所と言える指導室。 ――最近週一で呼ばれてただけあって、何言われるのかなんてわかりきってるんだけど。 めちゃくちゃ憂鬱ではあるんだけど。 「同レベルが何言ってんの!」 何がそんなに楽しいのかめちゃくちゃ笑顔な遥を前に、つられて苦笑いになった。 踊り場の窓から見える外は、うちの敷地内の紅葉が綺麗に紅く染まっていて。 時たまきらきら光に反射する遥の茶髪は、その紅によく似合う。
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