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どーせ指定外の色のシャツ着るなら、赤とかにすればいいのに。
そんな黒で取り澄ました感じにスタイリングして。
……似合うのに、モミジ。
あたしのだいぶ残念そうな視線にも全くと言っていいほど気づかない遥は、その顔から笑みを絶やさない。
「なんか最近、個別指導の先生つけろとか言ってこねえ?」
そしてそのまま、あたしの憂鬱の種をズバリと口にする。
「…OBとかOGの先輩の?」
「そーそー、受けてる奴いんのかよアレ」
一気にうんざりした口調になったあたしの変化にも、気づかない。
個別指導。
それは、進学校を自称するこの高校の一つのシステムで。
有名大に行った卒業生たちが、土日祝日に図書室までわざわざ出勤し、在校生のお勉強の手助けをしてくださるというものだ。
学校側からギャラもいくらか貰えるらしく、バイト感覚でやって来る卒業生は多い。
「あたし一回やったよ」
「マジか!」
「無料だし、先生方にゴリ押しされたから」
「どんな!?」
「まあ、無いよりはマシかもだけど…」
しかし所詮は素人大学生。
答えを出すことに長けてはいても、理解させるということには中々…。
……とりあえずあたしの印象としては。
「…まあ、塾行った方が早い」
「違ぇねえ!!」
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