プロローグ

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ところであたしは、ただただこの美しいクラシックに浸ってるわけじゃない。 というかむしろ、クラシックなんてどうだっていいような状況ですらある。 あたしは今…… 「…………」 「……オイ」 「…………」 「しず」 「は…っ…ぃ……」 …………。 あたしは今、泣いている。 ぼろっぼろぼろっぼろ、ひたすら涙を零している。 しゃくりあげてすらいる。 「5分たった。切り上げろ」 そしてそんな大号泣の最中にしては、かけられる言葉は異様に冷たい。 「…………」 「ちんたら泣いてんじゃねえよ。テキパキ泣いてテキパキ泣き止め」 ……冷たいっていうか、ひどいっていうか、何というか。 「回数重ねんなら重ねるごとに成長しろ。スピードアップしろ」 何というか。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…早くしねえとお前のそのブッサイクな顔写メって俺の後輩にバラまく」 「…っ!?」 何というか。 ……ありえない。
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