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「君、大丈夫かい?」
警備員さんは俺に声をかけ、手をとり立ち上がらせてくれた。
「ここらへんはカップルだとかで混むからよくあんな喧嘩あるんだよね~。ったくよくこんな寒い時期に元気に喧嘩出来るよね?」
「はっはぁ…」
「ったく、これだから冬は…はぁ~。あっ時間じゃん、俺もう仕事戻らなきゃだけど…君一人で大丈夫?」
「大丈夫です。」
俺はジーンズについた土の汚れを叩いてから、
「もう帰るんで。」
「そっかぁ…なら、気をつけてね。」
「はい、それじゃあ。」
俺は自分の家へと向かった。
そういえばなんでこんな所に警備員が?毎年混むとか言ってたけど…わざわざそのため?警備員って仕事も大変なんだな~…
なんて思いながら。
まさかこれが俺にとってかけがえのない人達と出会う『きっかけ』になるだなんてこのときは考えもしなかった。
「あの警備員さん、優しい人なんだろうな…」
あの警備員さんをのちに『慶ちゃん』と呼ぶことも。
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