はじまり

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なんだかその言い方だと嫌なことでもあったのか、と聞かれそうだが、そのようなことはない。 むしろ俺はあの時違う道で帰ってよかったと思っている。 まあ、悪いことは色々あった。 まず路地を曲がると真っ先に黒い猫に横切られた。 それでも気にせず道を進むと鳥に糞をかけられた。 そしてとどめに頭上の木から毛虫が落下ーー。 だが、それでも良かったと思うのは「公園」をみつけたから。 公園ごときで、と思われるだろうが、俺にとってその公園はそこまでの価値があるものだった。 それはアパートとアパートの間にあって、その廃れ具合からも 「子供好きなアパートの管理人の老夫婦が子供を喜ばす為に公園を作ったはいいが少子化の影響を受け、今ではもう忘れ去られてしまった」 というような事が容易に妄想できるものだった。
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