青年は、虚無に逃げる。

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虚無。 仏教の世界では、悟りを開く為に虚無を知り、受け入れなければいけないという。 名誉も、金も、愛も、この世の執着を全部捨てて。 全てをさらけて得るものが、虚無なのだろうか。 なら、俺のしている「小説を書く」という行為は虚無から程遠いものじゃあないか。 虚無を知りたい、等と偉ぶって。 孤児院の子供が親を欲しがるようなものだ。 酷く、虚しい。 ああ、この気持ちこそ虚無なのか。 結論に至ると同時、全ての事が色褪せ、俺を指さし嘲笑しているように思えた。
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