青年は、虚無に逃げる。

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なにもかも、馬鹿らしい。 話を紡ぐことも。 愛されようと生き急ぐことも。 頭ではそう考えるくせに、熱く燃える血の音は先よりも耳に近く聞こえる。 その音は俺を虚無から遠ざける音に聞こえた。 何だか無性に腹がたった。 気付くと、手がウインドウのバツボタンを押していた。 パソコンの画面から"なかなかの出来の"文字列が消える。 だが、俺は現実を捨てきれなかった。 カーソルを左上に持っていく。 かちりという小さな音がしてパソコンが文字で埋まる。 情けない自分にため息がでる。 こんな気分の時は公園にいこうか。 あの、小説の舞台にしたあの公園に。
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