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帰路についていた時突然 闇から出てきた者に行方を阻まれた 「詩史(ウタシ)、ご苦労であった」 詩史と呼ばれた青年は 顔をあげ口許のみの 独特な笑みを浮かべそれに応えた。 「吉田さん、姿見られたから適当に標的じゃない人も斬っちゃったけどいいよね?」 吉田と呼ばれた男、 吉田稔麿は言葉を続けた 「ああ、構わない。 それにしても相も変わらず美しいな、お前は」 「そんな余分な話はいらない。 それより報酬は。」 「これだ。また頼む。」 金の入った袋を手渡された詩史は 返事も無しに闇に消えて行った その後ろ姿からでも伺える 後ろで一つに高く結った 稲穂のように輝く長い金髪に 着物から覗く色素の薄い 白磁のような白い肌。 江戸の時代には珍妙な姿であった
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