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延々とディスプレイに列ぶ文字に目を通していくうちに、新たな情報を二つ得た。ひとつは、読むと死ぬ本とは別称に過ぎないこと。
全知全能の書。
それが本の実の名前だ。
本とはその内容に大小の差はあれど、読めばなにかしら得るものはあるだろう。だが全知全能の書は、その名に違わず、読むだけでこの世界の全てを知ることができ、またそれを利用できる知恵まで我が物にできるということだ。
全知全能……この世の全てが詰まった本。読むと死ぬという奇怪な書物よりずっと信じられない話だ。
だが、本当にそんなものがありそれを読んだとしたら、使い古された言葉ではあるが世界征服も可能なのではないのか。
だが、全知全能の書について二つの疑問が浮かんだ。
なぜあらゆる知識が詰まった、どんな財宝にも勝る書物に、読むと死ぬだなんて別称がついたのだろうか。全知全能の書、読むと死ぬ本、まったく対照的に思える。
もうひとつは、正式名である全知全能の書が、別称に過ぎない読むと死ぬ本よりも圧倒的に知られていないことだ。
数々のサイトを覗いたが、読むと死ぬ本についての噂は載っているものの、その正体が全知全能の書という、神々しささえ感じるタイトルの書物だと知っている者は、片手で数えられる程しかいなかったのだ。
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