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「だーかーらぁああああああ!! 見たんだってマジで!!」
空が真っ青に晴れ渡った平日の真っ昼間、山間を切り拓いてつくられた街全体を見下ろせる、普段は生徒の立ち入りを禁じている筈の学校の屋上で大きな声が響いた。
「ばーか、どこの世界に腋の開いた巫女服着た本物の巫女がいるんだよばーか」
「見たんだってマジで! あれは絶対本物ってかばかばかうっせぇんだよテメー!」
ギャアギャアと騒ぐ二人の少年を軽く無視したまま、小日向 漣は屋上をぐるりと囲むフェンスに背中を預けて座り込み、購買で買った焼きそばパンをはむはむと頬張る。
「なぁ漣! お前は見てねぇのかよ!?」
しかし漣が反応するより早く、もう一人のさっきから挑発っぽいことばかり言っている少年が、
「居るわけねぇよなそんな腋見せ巫女。将、お前あまりにモテなさすぎて頭ん中がヘンな道走り出してんじゃねぇ?」
何だとぅ! と目をむいて怒る少年の名は将。元野球部主将のスポーツ系男子である。それに対してもう一人の、少しやんちゃそうな茶髪の少年は煙草の煙を吐き出しながら馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
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