外の世界

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紙パックのオレンジジュースで口の中のパンを胃に流し込み、漣は転落防止の高いフェンス越しに見える街並みを眺めた。 忌々しい花粉が飛び交う春が終わり、目に突き刺さるような初夏の眩しい日差しが家々の屋根や車の走る道路を隅々まで照らしている。四季の中でも夏というのは一際色彩が鮮やかに目に映るようだ。 ここは東に位置する地方都市、漣の生まれた世界。 もうすぐお別れの世界。 そう考えると少しだけ、寂しい。 漣が遠い目をしてそんなことを考えていたその時、階下から屋上の扉に繋いでいた鈴がチリンと鳴った。すぐさま三人は顔を見交わす。 「やべぇ、生活指導の川中だ」 花が急いで煙草の火を消してフェンスの向こうに投げ捨てる。因みに漣の学校では煙草は勿論、勝手に屋上に出るのも禁止されている。 どうでもいいかも知れないが、煙草はともかく、どこの学校も最近校則が厳しすぎる気がすると漣は常々思っていた。 自分で危機管理が出来ないヤツが多すぎるのだ。 とまあ、それはともかく。 「どうする? 俺もうあいつに二回捕まってんだけど」
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