1人が本棚に入れています
本棚に追加
「さあ、訓練所まで行こうではないか。」
ギルバートは言われるままに訓練所へ連れられた。
「―では始めてくれ。健闘を祈る。」
「…ゆくぞ。」
男は大剣をいとも容易く振り回す。
「っ!」
ギルバートはその力に驚いたが、難なく避け、距離をとると、真空波を放った。
男は大剣で空気をなぎ払い、それによって生じた真空波でギルバートが放った真空波を相殺した。いや、それどころか、男が放った真空波はギルバートに襲いかかった。
「くっ。」
ギルバートはなんとかバリアで防いだ。
しかし、男は既にギルバートに近づき、大剣を振りかぶっていた。
(こんな所で、やられてたまるかぁ!!)
男は大剣を振り下ろした。しかし、そこにギルバートはいなかった。
「消えた!?」
男と王とその側近は驚いて同じ言葉を発した。
ギルバートは男から少し距離のあるところから、男の背中を見ていた。
「ここからは、僕の番だ。」
ギルバートはそう言い放ち、剣を抜いた。
「…ちっ。」
男は舌打ちして、先ほどのように真空波を巻き起こした。
しかし、ギルバートはそれを飛び上がって避け、そのまま男に剣を振り下ろした。
男はそれを避けたが、反動で吹き飛ばされた。
「くっ…」
男は体勢を立て直すと、近づいてきたギルバートに切りかかった。しかし、手応えはなかった。
「どこだ!?どこにいった!?」
「ここだ!」
振り返った男の眉間に、刀が突きつけられる。勝負はついた、ということである。
「…降参だ…」
男は悔しそうにつぶやいた。
この一部始終を見ていた王と側近は驚いた。
「あれを負かすとは、すごいじゃないか。これで君が十分に戦力になることが分かったよ。ぜひこれからは我が軍で働いてくれ。」
こうしてギルバートの東軍としての日々が始まった。
最初のコメントを投稿しよう!