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「…ふう、今日はこれくらいにしておこう。」
ギルバートは最後の獲物を袋にしまい荷台に乗せると森を出た。
(これだけあれば、父さんも母さんも、ネーリスも喜んでくれるだろう)
ギルバートには父と母と妹のネーリスの笑顔が容易に想像できた。
森の出口まで来てギルバートは村の方を眺めた。
「…!!、煙が揚がってる!」
ギルバートは急いで村へ向かった。
村は荒れ果てていた。建物は焼かれ、村人が辺りに横たわっていた。
「こ、これは…どうして…こんな…」
村の突然の変化に、言葉もなかった。
倒れている人は皆、血にまみれていて、一目で死んでいると分かった。
慌てて、父と母と妹が待つ家へ向かった。だが、そこにあったのは、外にあったもののように、血まみれの家族だった。
「父さん…母さん…ネーリス…何やってるんだよ。悪い冗談はよしてくれ。…あ、これは夢なんだ。僕は何か悪い夢を見ているんだ。」
「ふっ、夢じゃないさ。」
「!?」
壊れた扉から、誰かがきっぱり言い放った。
「我々は北の大陸からの使者。封印の杖を手に入れるためにここまで来たのさ。」
「!!」
「そう、全てはルーモス島を取り戻すため。しかしルアズ様の計画には貴様らは邪魔なのだよ。安心しろ。貴様もすぐに家族のもとへ送ってやる。」
そう言い放つと、剣を抜き、ギルバートに襲いかかった。
「キィィンッ」
「なにぃっ!?」
次の瞬間、謎の男は弾き返された。ギルバートは左手を謎の男にかざして、魔法でバリアをつくっていた。
「よくも家族を…よくも村をっ!!。」
ギルバートは剣を抜くと、謎の男に反撃した。
「き、貴様!?ぐああああっ!!」
あまりの速さに、謎の男はなす術なく切り捨てられた。
「はあ、はあ、はあ…うっ…うっ…」
ギルバートは改めて村の突然の悲劇に涙した…。
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