狩人と狼の話。―狩人01―

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. ――“彼”は親の顔を知らない。 赤ん坊の頃に施設に拾われ、本当に自分が生まれた日さえ知らなかった。 性格はおっとりとして優しく、かと思えば責任感が強く芯もしっかりとして。 施設の子供達の中で彼が年長者となってくると、自然に彼は年少組の善き兄役となっていた。 春の日だまりのような温かさを纏う彼の傍には、何時も幼く無邪気で、幸せそうな声が満ちていた。 ――あの日が来るまでは。 .
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