Act.1 始まりの声

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最も強かった光が薄れ、仄暗くなる縦穴内。 その様子を見ながら私。遅れて先生が続く。 少女から放たれる輝きの弱まりと共に衣服の揺らめきも鎮まり、やがて華奢な体が揺りかごへと舞い降りた。 「お疲れ様です、メタトロン様」 「う、うむ……待たせて済まなかったな……。警備の任、ご苦労だった」 見上げる形となり姿の見えなくなった少女へ送った労いの言葉に労いの言葉が返る。 しかし幼さのあるその声音は何処か詰まり気味で歯切れが悪かった。 任を終えた筈なのに彼女は揺り籠から降りてこず、顔を覗かせすらしない。 先程漏らされた不穏な呟きになんとなく……と言うか、当たり前と言うべきか。嫌な予感だけはしていた。 だが、こう行動まで不穏だと流石に不安感を煽られてしまう。 それは寸前にしていた戦争云々の話もあるが、それ以上にこの少女の今までやらかしてきた行為から来る不安。 「んで、今回は何やらかしたんだよ。大、天、使、様?」 彼女の犯したミスで何かとてつもない事に巻き込まれる事への恐怖心だ。 「え、えーっと……その、な?怒らないで聞いて欲しいのじゃけどー」 「内容次第ではシバく。ま、その調子じゃロクでも無い話だろうからシバき確定だけど」 「にぎゃー!暴力教師に襲われるー!助けて未来の『英雄候補生』!」 「助けなくていいぞー。この駄天使様にゃ、一回くらい痛い目見せないと駄目みたいだからな」 「誰が駄天使じゃ!妾は大天使メタトロン様じゃぞ!色々凄いんじゃぞ!」 目の前で繰り広げられる下らないやりとりに、私は肩と溜め息を落とす。 彼女の内面を知って尚、さっきの神秘的な光景に感動していた私はなんだったのか。 口を開けば一発でイメージが崩壊すると話題の人に何夢見てたんだと小一時間問いたくなった。勿論自分に。 だが問い正したところで仕方ないのでこの際それは無視するしかない。 現実なんてそんなものと言い聞かせつつも、抱いた感動がこれ以上崩れる前に話を前に進める事にする。 「はぁ……とりあえず話が進まないんで何があったのか話して貰えますか?」 「う……そうじゃな。流石に今回は隠している訳にはいかぬ話じゃしな」 「今回、って事はなんか別に隠してる事あんのかこの駄天使様」 飛ぶツッコミには答えないで少女は翼を広げて私達の前へと降り立つ。 そして暫く視線をさまよわせ、諦めがついたのか嘆息と共に口を開いた。
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