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「体術科は滝行ツアー、魔法学のオヤジ共はヒモ無しバンジー飛行術強化合宿。大事な時にいない癖にロクな修行してねーなコイツら」
「先生が夏にやるコロシアム殴り合いツアーに比べたらマシです。あ、錬金術科のフォカロ先生いますよ」
「あんな引き籠もりのモヤシじゃ戦力どころか楯にもならねーよ。連れてくだけ無駄」
「てかあんまり修行に関与せんから知らなかったが、そんな事してたのかお主ら」
女性が開いた予定表を覗き込み一緒にめぼしい人材を探すが、やはり覚えの通りでロクに人は残っていなかった。
ついでに言えば間の悪い事に『アレフ』の周辺に修行に出ている一行もいない。
そうとなれば人員を集める手段は街全域に呼び掛けて有志を募る位だろう。
時間はかかるがこの際仕方ない。
そうしてその事を話すと女性と少女は同じ考えだったのか一も二もなく肯き、方針は決定した。
「メタトロン様は街全域への放送をお願いします。それと私も捜索に参加したいのですが」
「元より頭数に入れてっから安心しろ。有志にゃ特別課外授業点+見つけたら賞金くらい付けてやるか」
「……賞金の出所は?」
「あん?そりゃ大天使様のポケットマネーからに決まってんだろ?」
「じゃよねー。しかし、迷惑かけてすまんの……」
「いえ、コレくらいは日常茶飯事ですから」
「そう爽やかかつ即座に肯定されるとそれはそれでちょい辛いのじゃが……」
「かと言って否定も出来ねぇだろ。この一件が済んだらマンツーマンの説教が待ってるから覚悟しとけよ」
「わかっておる……」
先生の叩いた軽口に、しかし少女は軽口にそぐわぬ神妙な面持ちで言葉を返すだけ。
その表情に何か引っかかり覚えたけれど、理由を考えるよりも先に頭一つ小さな肢体が深々と腰を折る。
「ともかく今はお主らに頼るしかない。異世界の客人の事は頼んだぞ、アルクスト・リーネ。ノアル・ネル」
「はい、お任せ下さい」
「おう、一仕事行ってくるぜ」
珍しく殊勝で低頭な彼女の態度に驚きながらも私達はしっかりと肯き返した。
そして言うが早いが捜索活動を行う為にそれぞれの持ち場へと一旦別れる事となる。
ーーその時の私はまだ知らなかった。
この任務。神からの指示で招かれた異世界人の来訪が意味する事を。
彼との出会いによってこの世界と私の運命が大きく変えられていく事も。
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