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2人で軽い食事を済ませ
身支度を始める。
「その服ダサい。」
友美が鏡越しにこっちを見て
不満そうな顔で呟いた。
そんな友美は
朝からメイクに余念がない。
すっぴんの幼さが残る顔から
きらきらと輝く女性へと変身していく。
明るく染められた艶のある髪の毛も
ゆるく巻かれて
動くたびに
フワフワと毛先が不規則に揺れる。
友美が呟いた言葉に
反論しようと口を開くと
それよりも先に
「まぁ似合ってるけど。」
なんて友美が
柄にもなく
少し嬉しいことを言った。
今日はなんだか
朝から機嫌が良いみたいだ。
それだけで
こっちもうれしくなった。
2人で暮らすには
少し広すぎるマンション。
そろって家を出て
地下の駐車場に止めた
これまた
自分には不釣り合いなくらいの車に
エンジンをかけた。
慣れた手つきで友美が助手席に座る。
さほど
大した会話をするわけでもなく
車を転がして向かった先は
この近辺では結構名の知れた大学。
ココに通っている自分が
言うのもおかしな話だが、
それなりに
デキル奴らが集まる大学だ。
駐車場に車を止めて
エンジンを切ると
いつものあいつが
今日も窓ガラスをたたく。
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