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「それについては疑いようがない、か。まぁいい。とにかく私は知らせておいた。少尉は飯を食べたらまた見張りを頼む。どうにもきな臭くなりそうな噂が流れているからな」
近々北方から何かしら災いがくる。《大和》内地で語られる噂、これが最近の海軍本部の悩みである。噂の原因は毎年正月に行われる皇室お抱えの陰陽師による占いだった。無論、一笑にふす事も出来たが、縁起の悪い事この上ないし、悪い事に民衆がそれを信じてしまっている。北方の軍事不可侵海域を守る海軍としては些か気分の悪い話ではある。
本部は新型とはいえ駆逐船の《安芸雨》では分が悪いと見て、今二等戦船以下三隻軍事不可侵海域へ送っていると潮間は聞いていた。この軍事不可侵海域を守る船は《安芸雨》以外にも巡洋船、《真陽》に旗艦の二等戦船。《安芸雨》を下げるのは新型の蒸水機関を積んでいるからでもある。新造船の感想を集めるためだった。
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潮間は昼飯をとった後、メインマストの上の見張り台に立った。直ぐ目の前にはフロントマストがあり、後ろには蒸水機関の排煙筒があった。今は動いていない。手軽に使うと燃料の炭石があっという間になくなってしまうからだった。
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