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「やだ!!アタシは行きたくない!!」
「うるせぇ餓鬼だな、早く歩け!!早く歩かなけりゃ…」
目の前にあるのは刀だ
早く歩かなければ殺されるかもしれない
でもそんなのはどうだって良かった
そんな事よりも、アタシを吉原に売り飛ばして銭を貰っている父さんと母さんに
頷いてくれる事を期待して"嘘だよね?"と必死に問い掛ける事しか頭になかった
でも期待は糸も簡単に砕かれた
いくら叫んでも二人とも家の中に入って外には出てこなかった
「そんな…父さん、母さん、どうして…」
母さんは面倒見がよくて、いつも一生懸命働いている
とてもいい母親だった
父さんは酒癖が悪く、町人の人から酒を盗んでは酔っ払ってよく私達に暴力をふるっていた
いい父親とは呼べない人だった
きっと全部父さんのせいだ
母さんは父さんの言うことに逆らえなくて、それで嫌々一緒にアタシを売ったんだ
だから本当にアタシを売ったのは父さんだ…
アタシは半分抵抗する事を諦めて歩き出しながら父さんを憎んだ
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