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帝はその夜、不安と淋しさでいっぱいで夜を明かしました。里へ見舞いにやられたお使いが、気掛かりで仕方ありません。
桐壺の更衣の里で、
「夜中過ぎにとうとうお亡くなりになりました。」
と人々が泣き騒いでいるのを聞き、勅使も気落ちして宮中に戻ってきました。
それを聞いた帝は、悲しみのあまり部屋に引きこもってしまいました。
若宮はまだ何が起こったのか分からず、女房たちが泣き惑い、帝まで涙が流されるのを不思議そうに眺めています。
普通の親子の別れでさえ悲しいものなのに、母との死別をもわきまえない若宮の哀れさは言葉もありません。
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