68人が本棚に入れています
本棚に追加
いつとなく日々は過ぎてゆき、法要にも帝は心を込めて桐壺の更衣の里へ弔問の勅使を送られます。
時が過ぎるにつれ、帝はいっそうやるせなく悲しくお思いになるのでした。
妃たちを夜の御寝所にも全くお召しにならず、涙に溺れて明かし暮らしているのです。その様子を見る人々までもが涙な袖を湿りがちとなり、いつの間にか露も秋になりました。
「亡くなった後まで、人の心を掻き乱すあの女の憎いこと……それに変わらない帝の何と言う未練」
と弘徽殿の女御は悪口を言います。
帝は若宮が無性に恋しくなり、気心の知れた女房や御乳母などを、桐壺の更衣の里に遣わして、若宮の様子を尋ねるのです。
最初のコメントを投稿しよう!