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急に肌寒くなった黄昏れ時に、帝は常にもまして桐壺の更衣や若宮を思い出します。
夕月の美しく冴かえる時刻に、帝はそのまま物思いに更けてらっしゃいました。
「こんなに美しい月夜に、よく管弦の合奏して楽しんだが、あの人はとりわけ美しく琴の音を鳴らして、さりげなく口にする歌の言葉も、他の人とはどこか違って心にしみたものだった。」
そんな桐壺の更衣の表情や仕種が、あの日のまま思い出されて、今も幻になり身に寄り添っているように思います。
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