源氏物語

桐壺

若宮が三歳になられ、御袴着の式が行われました。世間で非難ばかりなのだが、若宮が成長するにつれ、お顔やお姿がとても優れているので、さすがのお妃たちもこの若宮を憎みきれないのです。

その年の夏、更衣は病気になられました。お里に下がり養生したいと願うのですが、帝はお暇下さりません。

ここ何年かずっと病気がちだったので帝は大丈夫だろうと思い、

「もうしばらく様子を見よう。」

とおっしゃるばかりでした。

日に日に桐壺の更衣は病状が悪化してゆき、重態となってしまいました。桐壺の更衣の母が泣く泣くお願いし、お里へ下がる許しを帝にいただいたのです。

引き止めたくとも宮中の作法により、限度があります。これ以上止めようもなく、立場上見送りさえ出来ないことを辛く感じになるのでした。