-序章- 竜の守護者

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モンスターハンター。 彼らは様々な理由でモンスターと戦う狩人だ。 それは何かを守るためであり、何かを集めるためであり 個人的な恨みを晴らすためであり、ただ強いモノと戦うためでもある。 そして、ここは北の果てと呼ばれるシュネー村近くの密林。 ここにリオレイア装備を一式揃え、弓を携えている少女がいた。 「(……一体これは何の冗談よ… 私がギルドから任されていた任務はドスランポスの討伐だったはず… ……なのに、何でこんなとこにレウスが寝てるわけ……ッ!?)」 少女の見据える先には紅い甲殻、大きな翼、鋭い爪をもつ飛竜 火竜"リオレウス"が洞窟内ですやすやと眠りについていたのだ。 そして、その洞窟を通らなければドスランポスのいる ランポスたちのねぐらに辿り着くことはできないのだ。 「(くっ…別ルートを通るにしても道はないし…… …起こさないように、静かにここを抜けるしかないわね……)」 そう決意して少女は忍び足で少しずつ洞窟内を抜けようと歩いていると 眠っているリオレウスがピクッと動き、それに反応した少女は足を止めたが どうやら起きたわけではなく少しだけ首の角度を変えた。 すると彼女の目には幻覚でないのならはっきりと見えてしまった。 ヘタすれば村一つでも消しかねないような凶悪なリオレウスの背に 一人のハンターが寝そべっていたのが― 「…………ッ!?」 一瞬少女は何がどうなっているのか分からなくなり混乱したが 冷静に考え、その少年を無視してでもこの場をやり過ごすのを優先しようとしたが やはり彼女も人の子、放ってはおけなかったのだろう。 少し小声で少年を何とか起こそうと試みる。 「(おーい、ちょっと……そこのアンタ…ッ!)」 しかし少年は起きず、少女も少し困ってしまう。 その時ポーチの中にあったこんがり肉を取り出し 少年の方へ香りが届く様に近くの葉を千切って煽ぎ始めた。 すると少年の鼻がぴくぴくと動き、ガバッ!と一気に体を起こした。 「ンぁ…?飯の時間かッ!?」 と言って起き上がると二人は目が合ったのだが それと同時に少年の下のリオレウスも目を覚ましていた。
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