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世界には、ただ歩いているだけで
誰の視界にも入り
老若男女問わず、思わず振り向いてしまう外見を持ち、
いつの間にか周りには人だかりができる…
そんな主人公的人間が必ず存在する。
鳴海由宇(なるみゆう)―…17歳。
彼もその1人だ。
スラリと伸びた長い手足に薄茶色の瞳。長い睫毛が憂いを際立たせている。
瞳と同じ色の髪は、身を切るような冷たい風にも柔らかくなびく。
マフラーをあげる仕草ひとつに、「はぁ~…❤」とすれ違う女子高生が溜め息をもらす。
しかし、人間
誰しも欠点というものがある。
「あー…死にたいなぁ。」
魅惑的な声が発した一言に
女子高生は…いや、その場の生き物全てが固まった。
「やだなぁ…みんな俺に何を期待してたの…」
由宇は虚空を仰ぎ見た。
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