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「ちょっ! 頼むってば!!」
「いい加減しつこい!!」
必死になった研究員が淵夜叉(ふちやしゃ)の肩に掴み掛かると、淵夜叉が鬱陶しそうにはね除ける。
すると研究員が思いの外強く突き飛ばされてしまい、自動ドアにガンッと勢いよくぶつかってしまう。
「痛っ!」
「……悪いな。だけど俺の負担も少しは考えろ」
淵夜叉は振り返りもせずに、自室用の自動ドアに消えた。
「……はあ~……どーすんだよマジで……って、ヤバっ! あの報告書夕方までだっけ……溜め込むモンじゃないな……」
研究員は痛む腰をなんとか持ち上げ、一旦研究室で改めて作戦を立てようと思いながら、先程のカードキーを探す。
しかし、見当たらない。
「あれ? カードキーがない……はあ~……最悪」
すると研究員は内ポケットから同じカードキーを取り出す。予備のカードキーだ。
「時間ないし、また後で交渉した時に探すか……急がねぇと」
研究員は落としたカードキーをそのままにそそくさと研究室に走って向かう。
「ああー、色んな意味忙しい……」
同日、午後4時40分。
白刃雅音(つくも はがね)と螺糸露霧(らいと ろむ)は研究員に螺糸の父親である研究室室長「螺糸殿時(らいと でんじ)」の元へ誘導されていた。
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