1298人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやぁお友達とご一緒とは思いませんでしたよぉ」
研究員が妙な明るい口調で室長の娘である螺糸露霧(らいと ろむ)へ話し掛ける。
「あの、私邪魔しちゃうんなら帰り―「すみません! まさかお父さんが自分の仕事振り見せたいから呼んだなんて思わなかったんで」
白(つくも)の遠慮を螺糸が無理矢理遮りながら人当たりの良い柔和な笑みを浮かべる。
「螺糸殿時(らいと でんじ)室長は妙な所で恥ずかしがりですからねぇ」
研究員は何故か苦笑いを浮かべていると、あるドアの前で立ち止まる。
「申し訳ないんですが、少しここで待っててくれますか? お友達の事で見学の件聞いてきますから」
「そんな、本当に私が邪魔なら帰りますから露霧ちゃんには見せてあげてください」
白が研究員に申し訳なさそうに提案する。
「いやいやそんな嫌な意味で言ったんじゃないよ! 大丈夫だから気にしないで!!」
そう言うとそそくさと研究室らしき部屋に消える。
「ごめんね露霧ちゃん……私が付いてきたから面倒な事になっちゃって」
「なぁに言ってんの! 刃ぁちゃん知らなかったんだから仕方ないよ! それに一人で見てもつまんないし!!」
いつも通りの笑顔で言う螺糸に白も極めて控えめに笑みを浮かべる。
最初のコメントを投稿しよう!